昨日、ウチの旦那がカナダ人になった。カナダの市民権を取得したのだ。
旦那の祖国は、複数国籍を認可している国。だから、ま、国籍を変えたと言う訳ではなく、国籍が増えたと言う訳だ。
日本と中国は複数国籍を承認しない。なので、生まれつきの複数国籍でない場合、他国の国籍を申請した場合は自然と祖国の国籍を放棄したと見なされる。
アメリカは複数国籍を奨励しないが、でも、強制的に国籍をうばうこともしない。
ま、国により、複数国籍問題は色々あるのだけれど、この間、友人に聞いて、結構、面倒くさいものなのだなぁ、と思った事がある。
この友人夫妻、旦那の祖国はイギリス。イギリスは複数国籍認可しているので、彼はアメリカとイギリスのパスポートを所有している。奥さんの方は祖国は中国。仕事柄、海外出張も多いのだけれど、どこの国に行くにも、ビザが必要になって来るので、結局、アメリカ国籍を取り、中国の国籍から離脱した。
さて、問題は、複数国籍を認可している国でも、その国に入出国の際、その国のパスポートを使用するようにと言う決まりがある。
例えば、息子はカナダ生まれなので、カナダと日本の両方のパスポートがある。日本に帰る際には、日本の入出国には日本のパスポートで、そしてカナダの入出国(と言っても出国の際に何もチェックされないけれど)はカナダのパスポート。と言う具合。
さて、イギリスも、複数のパスポート所持のイギリス人が、イギリスへの入出国の場合、イギリスパスポートを使用するように言っているらしいが、アメリカ側は、どこの国へ行くのも、その国民がどこにいるのか管理する為にアメリカパスポートを使用するべきだと言っているらしい。
最近のICチップ入りのパスポートは、パスポートがどこを通過したのか記憶するらしく、それプラスで、入出国のスタンプでアメリカ国民がどこに行ったのかをチェックするらしい。なので、アメリカの入国審査の際に、旅行期間中に何のスタンプも無い場合は、2次審査と言って、違う部屋での個別の取り調べをされる事が少なく無いらしい。
なので、その友人は、今では、アメリカからイギリスへ飛ぶ際、イギリスへはアメリカパスポートで入出国を行い、ヨーロッパ内での移動はイギリスパスポートで行うらしい。
また中国籍だった友人は、祖国に帰る際はビザが必要で、彼女のお母さんが、正式に招待状を作成し中国政府に提出し、やっとビザが取れると言う仕組み。そして、友人の旦那は、旅行会社を通さないとビザが取れない仕組みになっているらしい。
やれやれ、だ。
反対に、ウチの旦那は、今までは日本に私が里帰りする際、実家の父が、正式の身元引き受けの書類にサインし、そうしてやっとビザが取れていた。妻が日本人でも、関係ないらしい。それが、この度、めでたくカナダ国籍を取得したので、ビザ無しで日本にも来れる事になった。
主人の実家へ里帰りする時にも、いちいち、中継国のビザを取る必要も無くなった。これは、費用的にもホントに助かる。カルガリーに住んでいる時に、フランス乗り換えのフライトを予約したところ、フランスのビザ発給はカルガリーでは行っていなかったため、バンクーバーまで行って、ビザを取得した事もある。大変な出費だ。
日本は出生に依るもの、結婚により自動的に国籍を与えられる場合、以外は、一応は複数国籍を認めてはいない。この話を友人達にすると、みんな驚く。
あれほど少子化で、国が老齢化しているのに、それなのに、なぜ国民をもっと減らす様な対応を取るの?という訳だ。
旦那の祖国は複数国籍を認めているが、旦那曰く、認めなかったら、南アフリカ籍の人はむっちゃ減ってしまうからだ、と。
日本は島国だし、言語も日本語のみ。なので、どうしても移民の受け入れに億劫になるのも不思議は無い。受け入れるための器を作るのが、難しいのだ。そして、島国と言う特徴上、外部からの新たな侵入は好まない場合も多い。だから複数国籍を認める事に依って、今いる在日外国人の人たちが、こぞって日本人になるのでは?そしてそれを悪用されるのでは?と思っている人が多いのではないか?と思う。
実際に移民政策は難しい。国境をキッチリと整備するのは、かなりの難問と見受ける。
カナダのように移民国家の場合、かなりそのシステムも良く出来ている。今回、旦那がカナダ籍を取るのに費やした期間は、なんと、ほぼ2年。対してアメリカは3ヶ月程で取れるそうだ。その2年間の間に、リクエストされた追加書類は膨大だ。
というのも、カナダのシステムを悪用する為に、ちゃんとカナダに住んでいないにも関わらず、滞在日数をごまかしてカナダ国籍を取得する、という弁護士まで介入している大型組織が2年前に検挙されたのだ。それもあり、慎重に慎重を期するようになったのか、まぁ、飽きれるほどのリクエスト書類の嵐だった。
そして、それプラス、英語かフランス語のどちらかは日常コミュニケーションが取れる事ということで、テストがある。そのテストもカナダの歴史、政治、地理などを全て網羅したもので、このテスト自体も、昔は落ちる人がいない程、簡単だったらしいが、今は、真剣に勉強しないと、通らないものとなっている。
なので、カナダ国籍を取得する頃には、カナダの事に関しては、カナダで生まれ教育を受けた人たちと同等、もしくはそれ以上の知識を有する事になっている。
また、面接でも、言語能力はチェックされる。ここで落ちる人は少ないらしいが、ここで落ちても、永住権を持っている人たちには、政府負担で英語もしくはフランス語のクラスが受けられる事になっているので、また、言語能力が上がってから申請し直す事も可能だ。
日本がもしも複数国籍を認可する場合は、ここまでのシステムが必要だと思う。日本語のテストに、日本語の面接、そして歴史と政治と地理のテスト。プラスで、入出国の履歴、犯罪歴の有無、収入の有無など。
でも、これだけのシステムをいれるのは、かなりの月日が必要だろうなぁ、と思う。
ただ、出生が日本人に対しては、その人たちが後で違う国の国籍を取得しても良い事にすれば良いのになぁ、とは思う。一応、その数をキープしておいても困らないのでは?と思うのである。
中国系のアメリカ人の友人が言うには、アメリカにはアメリカ国籍を取ったけれど、でも日本国籍から離脱してない人が結構いるらしい。と言っても、彼女も直接そう言う人を知っている訳ではなく、オンラインの移民フォーラムで、よく見る、と言う事なのだけれど。
海外で家族が出来、そして家族みんなのパスポートが違う国の場合、一抹の不安がよぎる。もしもの時に、同じ国からサポートが受けられない可能性がある、と言う事は、一家離散の可能性があると言う事だ。
私の知人たちの中には、そう言う可能性を考えて、少なからず、カナダ国籍を取得し、日本国籍から離脱したという人たちがいる。私の息子は日本国籍があるけれど、旦那には無い。カナダ国籍を取得するまでは、旦那と息子はまったく違う国籍だった。今、息子と私、旦那と息子には共通する国籍がある、海外へ出る際に、一家が完璧に離散する可能性は少し軽減した。でも、私と旦那の国籍は違う。私も、知人達がした選択を、そう遠く無い将来にするべきかなぁ、と思うのである。